道玄坂の台湾料理屋の流れから、旧植民地台湾における帝国日本の食物にまつわる政策を追ってみたい。それらは歴史学者、藤原辰史さんの著書「稲の大東亜共栄圏」に詳しい記載がある。
そもそも農業は、化学肥料、農薬、農業機械、そして品種改良の登場によって大きく近代化していった。この技術の中でも品種改良は、「一度導入されると、それが導入先の生活の文化、伝統、慣習の有機的つながりを、徐々にかつ、機械的に変更し続ける」という。
台湾はもともとインディカ米が在来種だったが、日本はそこでジャポニカ米を品種改良した「蓬莱米」を普及させることで、軍事的な征服とは異なる次元で、「台湾の社会構造と心理構造をその両面からダイナミックに改変したのである」。
現在、大国のバイオ企業により種子が操作され、従属国が科学的に征服されているということが言われているが、日本もその支配する側に立っていたということを忘れてはならないだろう。
参考文献:藤原辰史「稲の大東亜共栄圏―帝国日本の〈緑の革命〉」吉川弘文館、2012年
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